単身赴任で起こりがちな結婚生活のトラブルとは
【法律歳時記】転勤が多くなる季節に知っておきたい法律の話
Ｑ 単身赴任してきた上司と不倫関係に……。しかも会社にバレてしまい、「二人ともクビだ！」と言われたのですが、仕事もきちんとしていたし、納得いきません！(20代女性)
Ａ 会社の就業規則規定の懲戒事由にはよく「素行不良」「職場の風紀・秩序を乱した場合」等の記載があります。そして従業員による企業の風紀を乱す行為として問題とされるおもな事件は、やはり従業員同士の恋愛・情交関係（不倫）に関するものが多いです。
ただ、裁判例としては、社内で不倫関係になっただけで懲戒を認めたケースと、さらに外部の噂になるなどして「著しく風紀・秩序を乱して会社の体面を汚し、損害を与えたとき」に初めて懲戒を正当と認めたケースがあります。
本件でも、「仕事をきちんとしていた」とのことですので、現実的な損害を全く出していなかった場合は、クビすなわち解雇は無効とされる可能性があります。
ただし、解雇を認めなかった裁判例でも「職場の不倫は社会的に非難される余地のある行為であるから就業規則所定の「素行不良」に該当する」とは認めています。ですので、社内の士気に多いに悪影響を与えたりした場合は、減給処分などが認められることもあり得ます。（同弁護士）
【お話しをうかがった方】
岩沙 好幸（いわさ よしゆき）さん
弁護士（東京弁護士会所属）。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。
近著に『ブラック企業に倍返しだ！ 弁護士が教える正しい闘い方』（ファミマドットコム）。
『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。
http://ameblo.jp/yoshiyuki-iwasa/
